朝雲暮雨  三蔵 編


(男女の堅い契り、情交を表す。

朝には 朝雲となり、夕には 行雨となって 朝な夕なに

貴方に会いにまいるという意。それほどに 慕っているということ。)






先の事件で が床に伏せったまま 何日か過ぎた。

を無事奪還した後で、三蔵は の告白を受け 想いを確認し 通じ合うことができた。

男としては あのまま を抱きたかった 三蔵だが、

身体を動かすことさえ ままならないを 抱いても 自己満足にしかならないと、

理性を総動員して の回復を 待つことにした。

そして ようやく 昨日 は 床上げをし、宿の中を歩くようになった。

今日は 八戒について 街にも出てみた様で、悟空と共に笑顔で 帰ってきた。

そんな の様子に 三蔵は 明日の出発を皆に 告げた。





その夜。

よく晴れていて、つきが綺麗な晩になっていた。

2人の寝室に はいま 1人でいた、三蔵は 八戒のところに ルートの確認に行っていない。

は あの夜以来 三蔵が から できるだけ離れているように、感じていた。

2人でいても 近寄ろうとしない、想いが通じ合う以前のように 口付けもしない。

いったい何が 三蔵をそうさせているのか、は 不思議でならなかった。

明日 旅を再開すると、今度は 何時2人きりになれるかわからない。

今夜の内に 三蔵に聞いておこう・・・・・そう思って 三蔵の帰りを待つ




少しして 三蔵が 部屋に入ってきた。

椅子に座ると 煙草を手に取り 火をつけて 宙を見ながら燻らせている。

とは 視線すら合わせようとしない。

「三蔵、聞いてもいいですか?」は 決意が鈍らぬうちにと思い 声をかけた。

「くだらねぇことなら 殺すぞ。」そんな気もないのに、口癖で つい答える三蔵に

は 苦笑を 禁じえなかった。

「三蔵、なぜ 私を避けるのですか? あの夕暮れの告白で 遊びには満足されて、

私には 飽いてしまわれましたか?」

そんな人ではないことは重々承知しているのだが、この人は 少し怒らせるくらいでないと

本音が出てこない人なのだと、は あえて 喧嘩を吹っ掛ける。





すると 思ったとおり 振り向きざまに 椅子から立ち上がると、

の座るベッドに 怒気をまとった三蔵が やってきた。

「なんだと〜?  おまえ 本気で言ってるんじゃねぇだろうな。

に飽きるはずがねぇだろ、俺たち 始まってもいないんだぞ!

俺は を避けてたんじゃなくて、我慢してたんだよ。

『俺の女になれ』って言ってから、ずっと 待たされていたんだ、あの晩すぐにでも

を抱きたかったんだ。だが あの時のの身体に無理はさせられなかった。

だからだ・・・・・・・・・・・判れ。」内容が 内容だけに 大声では なかったが、

その分 睨みながら 怒る三蔵。




は 三蔵の思惑が わかると、うれしそうにニッコリ笑って 三蔵に向かって両手を差し出した。

「お気遣い ありがとうございました、三蔵。

私が 寂しいので、今夜は 少しでいいですから 三蔵のぬくもりを いただけませんか?」

その言葉に 今までの 怒気は 一掃され、三蔵は 1つため息を吐くと を胸に抱いた。

「寂しかったのか?」優しく尋ねる。

「はい、こうして 抱きしめていただきたいと 思いました。」

の 甘いにおいのする髪に 口づけを落としながら、その答えに 三蔵の口元が 緩む。

「俺も のぬくもりが欲しい。くれるか?」遠まわしな 比喩に自分らしくないと思いつつ、

三蔵は の答えを 待った。




「三蔵、私 永く生きてまいりましたが、・・・・・誰かと 褥を共にするのは 初めてなのです。

それでも よろしいでしょうか?」その意外な内容に、三蔵は 正直驚いた。

「金蝉とは・・・・・・・何も なかったのか?」あれだけ慕う恋人と 何もなかったとは 信じがたい。

「はい、恋人で許嫁でもありましたが、金蝉も私も 身分ある身でしたので そのような

自由は 許されませんでした。」

「そうか、今の揚子江 神女という身分でも どれほどのものか わかるからな・・・・・・・ 」

恥ずかしいのだろう 俯いたままで 話す が、わずかに震えているのに

三蔵は 気が付いた。

「もう一度だけ 確認しておくが、俺たちの関係は 禁忌になる。

俺は かまわねぇが、覚悟がないなら 辞めとけよ。

それに 人間の俺には 寿命もある、を置いて逝くことは 残念だが 事実だ。」

あえて残酷な事を 投げかける三蔵。




「それほどに 私を心配してくださるのなら、どうぞ 私を 三蔵の女にしてその心配を 

貴方自身のものにして下さい。

私たちが 禁忌を犯しているのだと、俺が 私を置いていくのだと、2人のための悩み事に

変えていただきたいのです。

三蔵を 愛することに もう何のためらいもありません。

神女と言っても 死なないわけではないのです。金蝉は私を置いて逝きました。

先の事件で そのことは いやと言うくらい この身に感じました。

私が これから三蔵と共に歩む事を 選ぶように、三蔵にも 私を選んで欲しいのです。」

の真剣な眼差しに、三蔵は 黙って 柔らかな 口づけを交わすと、

抱きしめていた の身体を そっと倒して、ベッドに寝かせた。




最初は 優しく なだめるように交わされていた 口付けも、徐々に 深く激しくなり

の息は 胸の鼓動と同じように 速く苦しくなっていく。

その の情交になれてない 初々しさに、三蔵は 箍が外れてしまいそうに なるのを、

何とか 抑えながら 出来る限り優しく 怖がらせないよう 気遣っていた。

(くそっ、まだ 肌にも触れていないうちから 余裕がなくなるなんて 

それほどに に溺れているという事か・・・・・・)




は 夜着に 中国宮廷服のジャケットの形をしたような すその長いものを、

ゆったりと着ており 絹で出来ている為か 主の肌のように柔らかい感触で とにかく薄い。

その絹布越しに 右手は の身体を触り の身体に 刺激を与える。

三蔵の左手は、右肩下にあるボタンを外してゆく。

頬に朱が上り 瞳が潤んだ顔を見て 三蔵は 「、綺麗だ。」耳元に囁き 耳たぶを 噛む。

三蔵の声に は 子供のように 首を横に振る。

「さ・・ん・・ぞう、っ、や・・・・・・・」

そういいながら は びくりと 背筋がのけぞった。




そうして あの日見た 何もつけていない の身体を 己で抱きしめながら、

誰の手にも落ちていない 白く柔らかい 肌を、音を立てて きつく吸い上げ朱の花を 

散らしてゆく。鎖骨 胸 みぞおち 腹 へと下がり、をあわてさせる。

「待って それ以上は・・・・・・あっ、・・・・だ・・・め・・・・」

あがらう両手をまとめて 片手で頭の上のシーツに縫いとめると、もう片手を

濡れて三蔵を待っているの華へと這わせた。

それを足を堅く閉じて 抵抗する。「や、・・・・やっ、めて・・・・・あっ・・・・・うっ・・」

抵抗をそぐように 口付けて、力の抜けた足の間に 滑りこませる。

そこは 充分潤んでいて 三蔵の指を 濡らした。



交わした口付けの 隙間から の甘い啼き声が 漏れる。

三蔵は 自分の足を の足の間に割り込ませ 足を広げさせると、指で 華芯を 触った。

「あっ・・・・・い・・やっ、・・・・・」の 反応は 予想外にいい。

、本当に嫌なのか? こんなに 感じておいて 嫌なはずはないだろう。

そんな 抵抗を見せたって 俺を煽っている様にしか 見えねぇんだよ。

無駄なことは辞めて 素直に感じてろ!」潤んで 切なげな瞳で 三蔵を見上げる 

の両手の力が抜けたのを 感じて、押さえていた手を離すと 三蔵の首に回された。

を 力で抑えたくねぇ、俺だけが を 欲しいんじゃ 嫌なんだ。」 

そのひと言に は 三蔵の顔を引き寄せて、自ら口づけを した。




三蔵の首に回したの白い手が 三蔵の金髪を 掻き分けて蠢く。

口づけを交わしながらの からの愛撫に 三蔵は だんだんと自分を抑えるのが、

辛くなってきているのを感じていた。

充分に潤んだの花の窪みに 指を一本差し入れる、「あっ、・・・・・」口付けの隙間から 声が溢れた。

「大丈夫か 入れたのは 俺の指だ。怖がらなくていい。

出来るだけ痛くならないように 馴らしておきたんだ、足は 閉じるなよ。」

初めての感覚に 戸惑っているのが、なんとも 可愛いと思う 三蔵。

も三蔵の意図がわかったのか、小さく頷いた。

抽送していた指を 2本に増やすと の中を 掻き混ぜたり、壁を擦ったりと 動かして

抜き差しを繰り返し 刺激を与えてやる。

「やっ、・・・・三蔵 か・・・・ん・・じっ・・・」に入れた指の他に 

もう片方の手で胸を 包んで刺激してやるとだんだんと 

快感が強くなってきているのが 伝わってくる。




その 指に強い収縮が伝わってきた 「、いいのか? もっと感じていいんだ、何度でも

いかしてやるから・・・・・・・・すごく 綺麗だ。」耳元に 熱い息と共に 囁いてやると、

たまらなく色っぽい目で 三蔵を見たは、「も・・・う・・・・んっ・・・・・あぁ・・・・・・・・」

声に出来ない喘ぎを はいて 初めて 絶頂に上りつめた。

三蔵の指には 達した証のように の快感の波が 何度も襲ってきている。

口づけを 交わすと 唇までが 震えているのが 感じられた。

が 肩で息をするのを 髪をなでながら 優しく見守る 三蔵。

は 媚態を見られて 恥ずかしいのか 首に手を回して 抱きついてきた。

「どうした? そんなに恥ずかしがることはねぇんだぞ。感じたんなら それでいいんだ。」

三蔵は 入れていた指を 引き抜くと、の足の間に 身体を移動させ 肘で体重を支えながら、

上から覆いかぶさるように を 抱きしめた。





2人は見つめあったまま 口づけを 何度も交わす。

角度を変え 深さを変え、歯で唇を甘く噛み 舌でなぞり 啄ばみ 焦らし 追いかけ 逃げて、

まるで 言葉ではなく 口付けで話すように・・・・・・・・。

不意に は 自分の濡れた窪みに、硬さを持った何かが 浸入してくるのに気が付いた。

先に入れられた 三蔵の指とは 硬さも大きさも 明らかに 別のもの。

初めてのその感覚に 痛みと戸惑いが の顔に表れる。

「痛いか? 出来るだけ体の力を抜くんだ、最初だけだから 大丈夫・・・・・・うっ、

そんなに 締めんなよ 俺が 辛いじゃねぇか。」

三蔵は 口づけを 深く激しいものにし、片手をの肩に置き 身体を押さえると、

もう一方を胸に這わせて 全体を包み乳頭を指で もてあそんで、愛撫を施してやる。

すると が 三蔵自身を 締め付けていた力が 弱まった。

その気に乗じて 自分の全てを の中に埋め込んだ。




「うっ・・・・・・・・ああっ・・・・・・・・・・いっ・・いた・・・・痛い、さんぞ・・・・う・・。」

三蔵は 動かずに の痛みが 落ち着くのを、待っていた。

その間も のその中は、三蔵の楔を 暖かく包み込み 蠢いては 感じさてくる。

まるで 三蔵自身を 快楽の深淵に 引きずり込むようだ。

その甘い拷問に 三蔵は 大きく息をついて 何とか耐えていた。

、痛みが少し引いてんなら 動いていいか?」そろそろ 我慢の限界が来ているせいか、

三蔵の声は 自分でも驚くほど 掠れていた。

は 三蔵に やっとのことで 頷いて見せた。

「わりぃな、ちょっと 我慢してくれ。埋め合わせは する。」そう言うと、の身体は

三蔵の動きで 激しく揺さぶられる。

痛みしか感じてなかったそこに 何か 別の感覚が芽生えてくる。

浅く 深く 三蔵の楔が 突き入れられるたびに、違った感覚が の身体に 襲ってくる。

自分でも知らずに 甘い嬌声が 口に上ってしまう。

「ああっ、・・・んんっ・・・・やっ・・・・・さん・・ぞう・・」

その声が より三蔵を 煽り たぎらせ 昇らせているとも知らずに・・・・。





・・・・、すごく・・・いい、もっと ・・・声を・・・・聞かせてくれ。

愛している、だ・・誰よりも・・・。」

「う・・・ん・・・さ・・ん・・ぞう、・・・もう・・・だ・・め・・・・っ・・・」

深く 激しく 楔を打ち込まれて は その快感に 意識を奪われた。

その 媚態にたまらず 三蔵も 己を開放したのだった。

三蔵は の中にとどまりながら、「もう一度 欲しいが、今夜は 我慢だな。」

主の意識がないのに、その中は 絶頂の余韻に 収縮を繰り返している。

甘美な拷問のように 三蔵に刺激を与えてくる。

しかし 初めてのことに なれないに、無理は させられないだろうと思う。

三蔵は 名残惜しそうに 身体を離すと、意識のないを 抱えるようにして 横たわった。

と自分に 布団をかぶせると、その額に 優しく 口付けて



、愛してる。」



三蔵は 聞こえてはいないだろう相手に つぶやいていた。



そして 自分も 暗闇の中に 意識を手放した。









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